大阪地方裁判所 昭和53年(わ)5408号 判決 1979年2月23日
被告法人
本店所在地
大阪市福島区福島五丁目一三番一八号
商号
福島ビル有限会社
代表者
取締役 吉田栄子
(登記簿上
代表取締役 吉田治三吉-公判係属中死亡)
被告人
本籍
大阪市福島区福島五丁目八番地
住居
同区福島五丁目一二番一四号
会社役員
吉田栄子
大正一五年六月二四日生
出席検察官
上野富司
主文
被告法人福島ビル有限会社を罰金七〇〇万円に、被告人吉田栄子を懲役六月に、それぞれ処する。
被告人吉田栄子に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、被告法人福島ビル有限会社の国選弁護人に支給した分は同被告法人の、被告人吉田栄子の国選弁護人に支給した分は同被告人の、各負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告法人福島ビル有限会社は大阪市福島区福島五丁目一三番一八号に本店を置き貸室業を営むもの、被告人吉田栄子は昭和五〇年二月四日から同社の取締役であり且つ昭和四八年ころから実質的経営者として同社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人吉田栄子は、同社の業務に関し法人税を免れようと企て、
第一 同社の昭和四九年一〇月一日から昭和五〇年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が二二、二三二、二二七円で、これに対する法人税額が七、九一九、八〇〇円であるのにかかわらず、収入金の一部を除外するとともに架空経費を計上するなどし、これによつて得た資金を個人資金と混合して割引債券にするなどの行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五〇年一二月一日、大阪市福島区玉川二丁目一二番二八号所在大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、三〇一、一七六円で、これに対する法人税額が一、三七八、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税六、五四一、〇〇〇円を免れ、
第二 同社の昭和五〇年一〇月一日から昭和五一年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が四七、〇六六、七四四円で、これに対する法人税額が一七、八四七、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五一年一一月三〇日、前記大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二〇、七六二、〇一七円で、これに対する法人税額が七、三三三、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一〇、五一四、一〇〇円を免れ、
第三 同社の昭和五一年一〇月一日から昭和五二年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が四三、五七九、七九八円で、これに対する法人税額が一六、四五五、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五二年一一月二九日、前記大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇、九二三、一五九円で、これに対する法人税額が三、四一二、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一三、〇四三、二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、元被告法人代表者吉田治三吉(公判係属中死亡)の当公判廷における供述、大蔵事務官に対する質問てん末書
一、被告人吉田栄子の当公判廷における供述、検察官に対する各供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、赤阪守、伊藤誠康、佐藤作太郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、被告法人の法人登記簿謄本、定款写、青色申告書提出承認申請書写
一、各法人税確定申告書写
一、各査察官調査書
一、国税査察官作成の各調査報告書
一、各脱税額計算書
一、検察官作成の電話聴取書
一、検察事務官作成の報告書
(法令の適用)
被告法人福島ビル有限会社につき
一、判示各所為
各法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
一、併合罪処理
刑法四五条前段、四八条二項
一、訴訟費用
刑事訴訟法一八一条一項本文
被告人吉田栄子につき
一、判示各所為
各法人税法一五九条一項、二項(各懲役刑選択)
一、併合罪加重
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判事第三の罪の刑に法定の加重)
一、執行猶予
同法二五条一項
一、訴訟費用
刑事訴訟法一八一条一項本文
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 栗原宏武)